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医薬品特許戦略ブログ 第2回:パテントリンケージ

先発対後発両サイドの特許戦略に必要不可欠な知識や最近の話題をお届けする「医薬品特許戦略ブログ」を配信します。製薬関連企業の皆様はもちろん、アカデミアや投資家の皆様にも参考にしていただけるような、実践的なポイントをお届けしたいと思います。

今回から、「パテントリンケージ」について

今後数回に分けて、パテントリンケージについて、定義、内容、各国の導入状況、課題等を紹介する。

パテントリンケージとは、一般に、後発医薬品の審査において、申請された後発医薬品と先発医薬品特許との関係を確認することをいう。

世界で最初のパテントリンケージ制度は、1984年に制定された米国のハッチ・ワックスマン法に定められている。日本には、パテントリンケージについて定めた法律はないが、2009年(H21年)頃より薬事当局(厚生労働省)の通知に基づいて事実上の運用がされている。なお、米国のハッチ・ワックスマン法で定められるパテントリンケージは、低分子医薬品のみを対象とするが、その後2010年に導入したBPCIA(Biologics Price Competition and Innovation Act:生物製剤価格競争・イノベーション法)で、バイオ医薬品のパテントリンケージ(通称:パテントダンス)について規定している。

その他のパテントリンケージ導入国として、カナダ(1993年)、UAE(2000年)、メキシコ(2003年)、シンガポール(2004年)、オーストラリア(2005年)、ペルー(2009年)、韓国(2012年)、サウジアラビア(2013年)、台湾(2019年)、中国(2021年)等が挙げられる(Global Guide to Patent Linkage 他)。

非導入国としては、欧州連合(EU)とスイスが代表的である。EUでは、欧州規則によりパテントリンケージは禁止されている。しかし欧州の後発医薬品メーカーの団体(medicine for europe)の白書によると加盟国レベルでは事実上のパテントリンケージが存在するようだ。

パテントリンケージは、特許制度と薬事制度の間に位置するシステムであるため、米国のハッチ・ワックスマン法のような法律がない場合、根拠とする資料が少なく、内容がわかりにくい。またEUのように、規則と実態が整合していない例もある。そこで以下に筆者の手元にあるパテントリンケージ関係の参考資料を挙げておくので参考にされたい。

次回は、日本のパテントリンケージの運用について紹介する。

パテントリンケージ参考資料:発表年順

桝田祥子「医薬品産業と米国自由貿易協定(FTA)知財戦略-米韓FTA の韓国医薬品産業への影響と環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への示唆」パテント Vol. 66 No. 10, 78~88 (2013)

桝田祥子「パテントリンケージ:医薬品の安定供給と特許制度に関する一考察-ジェネリック医薬品申請・承認手続きにおける新薬関連特許権の侵害性判断の国際動向-」AIPPI Vol.59 No.11, 818~834 (2014)

公正取引委員会 競争政策研究センター「医薬品市場における競争と研究開発インセンティブ-ジェネリック医薬品の参入が市場に与えた影響の検証を通じて-」報告書 2.3 パテントリンケージについて 16頁 平成27年10月7日

田中康子「後発医薬品80%時代の特許戦略」『LES JAPAN NEWS』 Vol.57, No.3, 80~89(2016)

田中康子「特許権の存続期間延長制度改正の提案」『国際商事法務』Vol.44, No.12, 1813~1819(2016)

田中康子「TPPの医薬品保護への影響」『国際取引法学会』第2号, 152~154 (2017)

市橋隆昌「日本におけるパテント・リンケージの運用実態」法律時報 VOL.89 NO.8, 35~40(2017)

篠原勝美「日本型パテントリンケージ制度の諸問題(上)」篠原勝美L&T 80, 29~35 (2018)

篠原勝美「日本型パテントリンケージ制度の諸問題(下)」篠原勝美L&T 81, 9~15 (2018)

石埜正穂ほか「日本のパテントリンケージの運用実態について」パテント Vol.70, No.10、54~65 (2018) 

Baker McKenzie「Global Guide to Patent Linkage 」(2019)

GIPC「PROVIDING CERTAINTY AND PREDICTABILITY ”HOW PATENT LINKAGE MECHANISMS HELP
INNOVATORS, FOLLOW-ON MANUFACTURERS, AND PATIENTS”
」(2019)

田中康子「米国ハッチ・ワックスマン法との比較から見えてくる日本のパテントリンケージの課題」国際商事法務 Vol.48, No.8, 1094~1100 (2020)

medicines for europe「White paper :Anatomy of a Failure to Launch: a review of barriers to generic and biosimilar market entry and the use of competition law as a remedy」(2020)

Fubuki 「日本のパテントリンケージの現状の課題とその解決に向けた提案」医薬系特許的判例ブログ(2021)
https:/https://www.tokkyoteki.com/2021/03/patent-linkage-system-in-japan.html/www.tokkyoteki.com/

田中康子「日本のパテントリンケージの課題解決に向けて~欧州との比較から~」『国際商事法務』 Vol.50, No.4, 418~424(2022)

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