お電話でのお問い合わせ03-6712-5985
メルマガ4月号をお届けします。今月の知財基礎講座では特許と実用新案登録の違いをご説明します。また、4月1日以降の特許出願、実用新案登録出願では「マルチマルチクレーム」が認められなくなりますので、是非ニューストピックをご確認ください。マルチマルチクレーム検出ツールなるものもご紹介しています。
━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━━
2022年4月号
━ コンテンツ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■知財基礎講座■
(3)特許と実用新案登録の違い
■ニューストピックス■
●4月から「マルチマルチクレーム」を制限(特許庁)
● 技術情報の漏えい巡り無罪判決(名古屋地裁)
●「鬼滅の刃」の模倣品が前年比10倍増(財務省)
●「ルブタン」の赤い靴底は一般的なデザイン(東京地裁)
● 商標の早期権利化をサポートするツールを提供(特許庁)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本年4月1日以降の特許出願、実用新案登録出願において「マルチマルチクレーム」が認められなくなります。
「マルチマルチクレーム」は、「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」のことで、4月1日以降、特許出願では拒絶理由の対象に、実用新案登録出願では基礎的要件違反となりますので、ご注意ください。
今号では「マルチマルチクレーム」の制限について取り上げます。
■知財基礎講座■
(3)特許と実用新案登録の違い
【質 問】
当社の製品に対して実用新案権侵害だとする「警告書」を受け取りました。どのように対応すればよいでしょうか?
【回 答】
実用新案権も特許権と同様に独占排他権です。実用新案権者は権利侵害者に対して差止請求(実用新案法第27条)、損害賠償請求(民法第709条)できます。しかし、実用新案制度に特有の事情があります。
この点を中心に説明します。
<特許と実用新案の共通点>
特許で保護される対象を「発明」、実用新案で保護される対象を「考案」といいます。両者はいずれも「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるという点で共通しています。
特許でも実用新案でも権利者には所定期間の独占排他権が与えられます。特許権者には出願日から20年を越えない期間、実用新案権者には出願日から10年を越えない期間の独占排他権です。この点でも両者は共通しています。
このような共通点があるにもかかわらず2つの制度が併存しているのは「発明の水準をある程度高く維持しながら同時に創作意欲の減退を防ぐためには、特許制度とは別の簡便な制度を設けて比較的程度の低い発明を保護することが合理的と考えられる」からであるとされています(工業所有権法逐条解説)。
「方法」、「製造方法」や、特定の外観・形態を有さない「物質」、「組成物」などは、特許では保護されますが、実用新案では保護されません。実用新案では、特許でも保護される「物品の形状、構造又は組み合わせに係るもの」しか保護されないことになっています。
「比較的程度の低い発明を保護する」観点から、特許・登録のために越えることが要求される「進歩性」の程度が特許で保護される発明に要求されるより実用新案では低くてよいとされています。ただし、日本のように技術の進んだ国で「技術的思想の創作」についての進歩性の程度を判断するときに、発明(特許)と考案(実用新案)で差を設けるのはいかがなものかという見解があります。現状では、特許・登録のために越えることが要求される「進歩性」の程度は発明(特許)でも考案(実用新案)でもほとんど相違していない取扱いになっていると思われます。
<実用新案は無審査登録>
実用新案が特許と大きく相違しているのは、特許庁への出願後、実用新案権の付与が請求されている考案が新規性、進歩性、等の登録要件を備えているか否か審査官が行う審査(=実体審査)を受けることなしに実用新案権が付与される点です。
特許の場合、特許出願手続の他に行う「出願審査の請求」によって開始される「実体審査」を経てからでなければ特許権は設定登録されません。審査官が行う「実体審査」で新規性、進歩性、等の特許要件を満たしていると認められたものに対してのみ特許権が付与されます。
一方、実用新案の場合には出願の際に出願料だけでなく1~3年分の登録料も納付し「実体審査」を受けることなしに実用新案権が設定登録されます。
その昔は、実用新案も、出願手続の他に「審査請求」があったものだけ審査を受け、新規性、進歩性、等の登録要件を備えていると認められるものにだけ実用新案権が付与されていました。しかし、出願から比較的早期に実施され、ライフサイクルも短い技術を適切に保護する観点で1994年から無審査登録制度になりました。
実用新案では出願後2カ月程度で審査を受けることなしに登録され、出願後3カ月程度で実用新案登録公報が発行されて出願内容(=登録を受けた実用新案の内容)が社会に公表されます。特許出願では出願後18カ月経過してから特許出願公開公報が発行されて出願内容が社会に公表され、実体審査を受けて特許権が成立したものについてだけ特許公報が発行されて特許成立した発明の内容が社会に公表されます。
実用新案は上述した目的で出願後早期に無審査で登録しています。しかし、現状の特許出願では審査請求後平均11カ月で審査結果を受け取れます。また、早期審査請求した場合には審査請求後3~4カ月で審査結果を受け取り、速ければ出願後半年程度で特許成立することがあります。
このように現状では出願後早期に権利付与を受けることは特許出願でも可能です。一方で、実用新案には権利行使にあたって後述する制約があります。
このため、1993年以前は毎年9万件程度の実用新案登録出願がありましたが、現状では年間6000件程度で、毎年30万件程度になる特許出願と比較すれば実用新案の出願は少なくなっています。
<実用新案権の警告には「技術評価書」が必須>
特許では第三者が特許権侵害を行っていると認められる場合、特許権者は警告書を送付して侵害行為の停止を求めることができます。実用新案では、第三者が実用新案権侵害を行っていると認められる場合であっても、実用新案権者は「実用新案技術評価書」(以下「技術評価書」)を提示した後でなければ侵害行為の停止を求める警告書送付、等の権利行使できません(実用新案法第29条の2)。実用新案権は無審査で登録されているからです。
「技術評価書」は特許庁が請求を受けて作成します。所定の料金を特許庁へ納付して請求することで3~4カ月で作成されます。実用新案登録を求める考案が登録に値する新規性、進歩性を備えているものであるかどうか、特許庁審査官による鑑定的な評価が下されます。「技術評価書」が提示されることで警告書を受け取った第三者は実用新案権の有効性を判断できます。
「実用新案技術評価書を提示せずに行った警告は、有効なものとは認められず、その状態で侵害訴訟を提起しても、直ちに訴えが却下されるわけではないが、評価書が提示されない状態のままでは、権利者の差止請求、損害賠償請求等は認容されないものと解される」とされています(工業所有権法逐条解説)。
<実用新案権者が負う無過失賠償責任>
特許では、特許出願公開公報に掲載されている発明を実施している第三者に対して補償金請求権を発生させるための警告書を送付した後、「実体審査」で出願が拒絶されて特許成立しないことが起こり得ます。この場合でも当該警告書を送付していた特許出願人が責任追及されることはありません。
実用新案では、警告書送付、等の権利行使を行った実用新案権が無効であった場合に、実用新案権者は、無過失であることを立証できない限り、すなわち、実用新案権者が相当の注意をもって権利行使したことを立証できない限り、損害賠償責任を負わねばなりません(実用新案法第29条の3)。いわゆる無過失賠償責任です。この点、国(特許庁)が実体審査を行った上で権利付与している特許権と大きく相違します。
なお、実用新案権者が「技術評価書」の評価(登録性を否定する旨の評価を除く。)に基づき権利を行使したとき、その他相当の注意をもって権利を行使したときは、損害賠償責任を免れることになっています。
<実用新案権に基づく警告を受けた場合の対応>
無審査で登録されているとはいえ、出願人が十分な先行技術調査を行ってから出願を行っている、等で、有効な実用新案権が存在していることもあります。
特許権者から警告を受けた場合、警告を受けた自社の行為が特許権侵害に該当するかどうか慎重に検討する必要があります。実用新案権者からの警告の場合には、警告を受けた自社の行為が実用新案権侵害に該当するかどうか慎重に検討するだけでなく、技術評価書添付の有無、技術評価書の評価内容についても慎重に検討する必要が生じます。
そこで、実用新案権者から警告を受けた場合あるいは、第三者が実用新案権侵害を行っているようだとお気付きになった場合、専門家である弁理士に早急に相談されることをお勧めします。
次回は特許や実用新案の先行技術調査に関するご質問への回答を紹介します。
■ニューストピックス■
●4月1日以降、「マルチマルチクレーム」を制限(特許庁)
特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令(令和4年2月25日経済産業省令10号)が公布され、令和4年4月1日に施行されることとなりました。
これにより、本年4月1日以降に特許庁へ提出される特許出願、実用新案登録出願において、マルチマルチクレームが認められなくなりますので、注意が必要です。
<マルチマルチクレームとは?>
日本の特許出願で準備する書類で特許請求する発明を記載する欄である「特許請求の範囲」を米国ではclaim(クレーム)といいます。そして、日本の特許出願での請求項1、請求項2、・・は、米国では、それぞれ、claim 1(クレーム1)、claim 2(クレーム2)、・・・、と記載されます。
そして、先行している複数の請求項に従属する形式の請求項(claim(クレーム))を、米国では、multiple dependent claim(多数項従属クレーム)と呼んでいます。
本年4月1日以降の日本国特許出願において記載が認められなくなる「マルチマルチクレーム」という呼び方は、米国におけるこのような呼び方を参考にしているのではないかと思われます。
特許庁のウェブサイトには次のような特許請求の範囲の記載がマルチクレーム、マルチマルチクレームの例として紹介されています。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/letter/multimultichecker.html
(マルチマルチクレームの制限について 令和4年3月 特許庁調整課審査基準室)
請求項1 Aを備える装置。
請求項2 更にBを備える請求項1記載の装置。
請求項3 更にCを備える請求項1又は2記載の装置。(←マルチクレーム)
請求項4 更にDを備える請求項1~請求項3のいずれかに記載の装置(←マルチマルチクレーム)
上記で請求項3は、請求項1、請求項2を択一的に引用しています。このように「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」がマルチクレームと呼ばれます。
マルチクレームである請求項3は、「請求項1又は請求項2」と表現してこれらを択一的に引用していますので、一個の請求項であるにもかかわらず、
①AとCを備える装置(=請求項1を引用する請求項3)と、
②AとBとCを備える装置(=請求項2を引用する請求項3)
という2個の発明を特許請求していることになります。
次に、請求項4ですが、これは、「請求項1~請求項3のいずれか」を引用する請求項ですので、上述したマルチクレームである請求項3と、それ以外の請求項1、2の中から択一的な選択を行う形式になり、「マルチクレームを引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」ということでマルチマルチクレームと呼ばれます。
マルチマルチクレームである請求項4は、マルチクレームである請求項3を含めた3個のクレーム(請求項)を択一的に引用していますので、一個の請求項であるにもかかわらず、
③AとDを備える装置(=請求項1を引用する請求項4)、
④AとBとDを備える装置(=請求項2を引用する請求項4)、
⑤AとCとDを備える装置(=請求項1を引用している請求項
3を引用する請求項4)、
⑥AとBとCとDを備える装置(=請求項2を引用している請
求項3を引用する請求項4)
という4個の発明を特許請求していることになります。
<4月1日以降の特許出願に課されるマルチマルチクレームの制限>
上述したように、マルチマルチクレームである請求項4は、マルチクレームである請求項3を含めた3個のクレーム(請求項)を択一的に引用していることから一個の請求項であるにもかかわらず4個の発明を特許請求して審査を受け、4個の発明について特許権成立させることが可能になります。特許出願人にとっては便利な記載形式といえます。
しかし、特許庁審査官は、マルチマルチクレームが1個記載されているだけで、上述したように、多数の発明について特許性(新規性、進歩性など)を検討・判断しなければなりません。マルチマルチクレームは審査の負担になっているといえます。
また、日本国特許庁が2020年に受け付けた特許出願は約29万件であるところ、中国、米国、韓国特許庁が受け付けた特許出願は、それぞれ、約150万件、約60万件、約23万件で、日本を除くこれらの特許出願大国では、上述したマルチマルチクレーム形式に制限が課されています。例えば、拒絶理由になったり、特許庁へ超過料金の支払いが求められる、等です。このような諸外国の事情も考慮されたものと思われます。
<マルチマルチクレーム制限の概要>
本年4月1日以降の特許出願の特許請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれている場合には特許請求の範囲の記載要件違反(特許法第36条第6項第4号(委任省令要件違反))の拒絶理由を受け、マルチマルチクレームの請求項及びこれを引用する請求項については、マルチマルチクレームに係る委任省令要件(特許法第36条第6項第4号)以外の特許要件(新規性や進歩性など)の審査が行われない、という対応がされます(マルチマルチクレーム制限に伴う特許・実用新案審査基準の改訂)。
更に、上述した請求項4の記載でマルチマルチクレームに係る委任省令要件(特許法第36条第6項第4号)違反の拒絶理由を受けた場合で、上述した③、④、⑤、⑥記載のように補正して拒絶理由を解消したときに、審査官が新規性、進歩性、等の特許要件について検討して、この補正が行われたことのみを原因として通知する拒絶理由は、新規性、進歩性、等の特許要件について一回目の検討で通知される拒絶理由であるにもかかわらず「最後」の拒絶理由とされることになります(マルチマルチクレーム制限に伴う特許・実用新案審査基準の改訂)。このため、この拒絶理由に対応するべく特許請求の範囲の補正を行う際には、請求項の削除や、請求項記載の発明の限定的減縮しかできない、等の、最後の拒絶理由通知を受けた場合の特許請求の範囲の補正に課される制限を受けることになります。
また、本年4月1日以降の実用新案登録出願の実用新案登録請求の範囲にマルチマルチクレームが含まれている場合には基礎的要件(実用新案法第6条の2に規定する要件)を満たしていないとして補正命令を受けることになります(マルチマルチクレーム制限に伴う特許・実用新案審査基準の改訂)。
本年4月1日以降に特許出願、実用新案登録出願を行われる場合には、特許請求の範囲、実用新案登録請求の範囲の記載にマルチマルチクレームが含まれることが無いようにご注意ください。
<マルチマルチクレーム検出ツール>
特許庁は、より適切にマルチマルチクレーム制限に対応できるよう、出願人及び代理人の便宜を考慮してマルチマルチクレーム検出ツール(外部と通信することなく動作するため、オフライン環境で利用可能)を提供しています。ご活用ください。
●技術情報の漏えい巡り無罪判決(名古屋地裁)
鉄鋼メーカー「愛知製鋼」の技術に関する営業秘密を漏らしたとして元幹部の2人が不正競争防止法違反(営業秘密開示)の罪に問われた裁判で、名古屋地方裁判所は、元幹部らに対し無罪を言い渡しました。
元幹部の2人は、高感度磁気センサーの製造に必要な装置に関する技術情報をホワイトボードに示すなどして、取引先の電子部品メーカー側に漏らしたとして、不正競争防止法違反の罪に問われました。
判決では「情報は抽象化、一般化されすぎていて、ありふれた方法を選択して単に組み合わせたものにとどまる。容易に思いつくもので営業秘密を開示したとはいえない」と判断しました。弁護側は「機械メーカーなら当然持っている技術。競争上優位な地位を占めるような価値もなかった」として営業秘密に当たらないと訴えていました。
●「鬼滅の刃」の模倣品が前年比10倍増(財務省)
財務省は全国の税関が2021年に知的財産権の侵害を理由に輸入を差し止めた偽ブランド品などの数が前年比39.1%増の81万9411点だったと発表しました。
https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2021/20220304a.htm
差止件数は28,270件で、前年と比べて6.7%減少したものの、2年連続で28,000件を超え、高水準で推移しています。差し止められた品物の中では、人気アニメ「鬼滅の刃」の根強い人気を背景に、関連の玩具や文房具などの模倣品が約10倍に増加したほか、東京五輪・パラリンピック関連の模倣品も大幅に増加しました。発送元を地域別にみると、中国が全体の77.4%を占めて一番多く、2005年以降トップが続いています。次いでベトナムが10.7%、フィリピンが3.9%。品目別では、高級ブランドなどの衣類が同60.8%増の10万8684点で最も多く、次いでイヤホンなどの電気製品が同62.0%増の10万4848点でした。
偽ブランド品などの取り締りについては、事業としての輸入だけでなく個人での輸入も規制対象とする商標法等の改正案が4月1日に施行されます。個人の使用目的で輸入する場合でも知的財産侵害品として、税関において差し止めることが可能となるなど、規制が強化されます。
●「ルブタン」の赤い靴底は一般的なデザイン(東京地裁)
フランスの婦人靴ブランド「クリスチャン ルブタン」が日本の靴メーカー「エイゾー(EIZO)」などを運営するエイゾーコレクションを不正競争防止法違反で訴えた裁判で、東京地裁は、ルブタン側の請求を棄却しました。
争点となったのは、赤い靴底(レッドソール)のパンプス。ルブタン側は、ルブタンの定番といえるレッドソールのパンプスに類似した商品を製造販売したと主張し、エイゾーコレクション側は、「ファッション関係においては国内外を問わず古くから採用されている色」などと反論していました。判決では、「ルブタンのレッドソールと、ゴム製のエイゾーの赤い靴底とでは、光沢や質感の点で与える印象が異なる」などと指摘。また、「ファッション関係においては国内外を問わず古くから採用されている色であり、一般的なデザインとなっている」などと、ルブタン側の主張を認めず、不正競争には該当しないと判断しました。
ルブタンの商品(出典:東京地裁判決別紙(令和4年3月11日))
●商標の早期権利化をサポートするツールを提供(特許庁)
特許庁は、商標の早期権利化をサポートするツールとして、「ファストトラック審査サポートツール」の提供を開始しました。
これまでは、指定商品・役務が、ファストトラックの対象となるかを慎重に確認する必要がありましたが、これらのツールを利用することによって、それらの検討・確認が容易になりました。
「ファストトラック審査サポートツール」
https://tmfast.jpo.go.jp/fasttrack/top.html
<ファストトラック審査とは>
(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務のみを指定している商標登録出願であって、
(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願については、
出願から平均10か月ほど要している最初の審査結果通知が約6か月に短縮される審査運用です。
ファストトラック審査の対象となる出願であれば、指定商品・指定役務が不明確とする拒絶理由を未然に防ぎ、スムーズな権利化を図ることができます。
<ファストトラック審査の注意点>
ファストトラック審査が適用されるものは、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務に限定されている点には注意が必要です。
例えば、比較的新しい商品や役務の場合、基準等に自分が指定したい商品・役務が記載されているとは限りません。また、商品・役務について具体的な記載をしたいと思っても、基準等に対応する商品・役務がないというケースも考えられます。
このような場合、ファストトラック審査の適用を受けようとするために、基準等表示に定めている商品名・役務名に合わせてしまうと、適切な商標登録ができなくなる可能性があるため注意が必要です。
***************************************************************
発行元 エスキューブ株式会社/国際特許事務所
弁理士 田中康子
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-23-6 石川ビル5F
Tel 03-6712-5985 Fax 03-6712-5986
Email info@s-cubecorp.com
Website www.s-cubecorp.com
***************************************************************
本メールマガジンの無断転載はご遠慮下さい。
本メールマガジンの記載内容については正確を期しておりますが、弊所
は、利用される方がこれらの情報を用いて行う一切の行為について責任
を負うものではありません。